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うちの子、本当に装具が必要?

“固定”よりも“動きを引き出す”関節ケアという選択


はじめに:「装具をつけるのが当たり前」だと思っていませんか?

小児リハビリの現場では、装具をつけた子どもたちの姿をよく見かけます。
特に目につくのは、両側に金属支柱のついた短下肢装具です。

これらの装具は、親御さんや現場のスタッフにとっては「子どもを支えるための当たり前の存在」として扱われがちですが、
私はある時、それが本当に子どもの将来のためになるのか疑問を感じました。

装具は“動けるようになるため”のサポートであるはずなのに、
時に「動きを制限する枷」となっていることがあるのではないか——。

装具の使用が習慣化し、根本的なケアが置き去りにされているとしたら、
それは子どもの未来にどんな影響を与えるのか?

本記事では、私が理学療法士として現場で見てきた実例や経験をもとに、
装具の現状と問題点、そして「本来の動きを引き出すための関節ケア」という視点から、
保護者の皆さまにぜひ知っておいていただきたい内容をお伝えします。


1. まだこれ使ってるの!? 昔の装具が今も現場に?

現在もなお小児のリハビリ現場で頻繁に使用されている「両側支柱付き短下肢装具」
これは、20数年前に私が理学療法士の養成校時代にもほとんど使われておらず、昭和終期から平成初期にかけて、成人の脳卒中後の下肢麻痺に対して広く使用されていたものです。

金属製の支柱が両側に付き、足関節をしっかりと支えるように設計されており、
安定性には優れていますが、重量があり、関節の自然な動きが大きく制限されてしまいます。

現在の成人リハビリの分野では、こうした装具は時代遅れのものとなり、
足部などの関節ケアを重点的に行うことにより装具に頼らない歩行動作の獲得やより軽量柔軟性に富んだプラスチック製の「シューホーン型装具」が主流となっています。

それにもかかわらず、小児の現場ではこの旧型の装具「当然のように」使われ続けているのです。


なぜ、古い装具が今も使われているのか?

理由のひとつは、「昔から使っているから安心」という心理的なバイアスです。
また、構造が単純で壊れにくく、調整も不要という「扱いやすさ」が、現場で重宝されているのも事実です。

しかし本来、小児のリハビリでは子どもの発達段階や身体の個別性に応じた対応が必要であり、
「とりあえず安定するから」と旧式の装具を流用することは、子どもの成長を妨げるリスクがあるのです。


問題は「装具の進化」ではなく「選ぶ側のアップデート不足」

装具そのものは日々進化しています。
問題は、選ぶ側の知識や判断がアップデートされていないことです。

「これが普通だから」「壊れにくいから」という理由で、
子ども一人ひとりの未来に必要な可能性を閉じてしまってはいけません。

道具が進化しても、使い方を誤れば、それは“壁”にも“橋”にもなる。
そのことを、まず私たち大人が認識する必要があります。

2. 感覚を奪う装具が、子どもの発達を止めてしまう?

人が歩く・立つといった動作を行うには、足の裏や足部の関節からの感覚情報が非常に重要です。
足底や関節には多くの感覚受容器が存在し、地面からの圧力や傾き、重心の位置などを常に脳に伝えています。
こうした感覚情報は、子どもにとっては“自分の体を知る”という発達の土台そのものです。

しかし、装具によって足底が覆われてしまうと、この大切な情報が遮断されてしまいます。
感覚入力が少なくなると、脳が自分の身体の位置や動きを把握しにくくなり、バランス能力や姿勢調整機能の発達に悪影響を及ぼす恐れがあります。

また、装具によって足首や足趾(つま先)の動きが制限されると、運動の多様な経験ができず、協調運動や反射的な動作の学習が遅れてしまうこともあります。
さらに、これらの制限が長期間続くと「自分の力で動かそうとする意欲」自体が薄れてしまい、結果として装具に依存した身体の使い方が形成されることもあるのです。

特に、こだわりの強さや感覚過敏・感覚鈍麻を抱えるお子さんの場合、足底からの刺激がわずかでもずれてしまうと、過剰に反応したり、逆に何も感じなくなったりすることがあります。
こうした感覚特性を持つ子どもたちに対して、感覚遮断的な装具を使用することは、むしろ混乱や過緊張の原因になりかねません。


装具に“慣れてしまう”ことの危うさ

もう一つ見落とされがちな問題があります。
それは、装具をつけた状態の歩行に“身体が慣れてしまう”ことによる弊害です。

長期間装具を使用していると、子どもはその「支えられた状態の歩行パターン」を学習し、それが当たり前になります。
すると、いざ装具を外したときに「支えがなくなった違和感」や「動かし方がわからない不安感」から、歩けなくなったり、バランスを崩しやすくなったりすることがあるのです。

つまり、装具が本来果たすべき“一時的な補助”の役割を超えてしまい、本来備わっていた運動機能の学習機会が失われてしまうという逆転現象が起こります。


装具を「使う」ではなく「卒業できる」ケアへ

装具の使用は、あくまで「一時的な補助」であり、最終的に“外せる”ことを前提とした関わりが必要です。
そのためには、装具に頼り切るのではなく、子ども自身の体の感覚・動かし方・筋力を“育てるアプローチが必要不可欠です。

「安定性を高めるための装具」が、知らぬ間に「発達の機会を奪う存在」になっていないか。
私たちは今こそ、装具の目的と使い方を再確認する必要があるのです。

3. 装具依存を生み出しているのは「大人側の思考停止」かもしれない

装具を長く使用している子どもを見て、
「この子は装具がないと歩けない」と思っていませんか?
しかし、それは本当に“子どもが必要としている”からでしょうか。

実際には、
「昔から使っているから」
「装具を外すのが不安だから」
といったように、大人の側が“装具を使い続けることに慣れてしまっている”ケースが少なくありません。

つまり、装具依存を生み出しているのは、子どもではなく“判断する大人”なのです。


装具を使い続けることで安心感が得られ、転倒や失敗を防げることは確かにあります。
しかしそれは裏を返せば、子どもが“自分の身体を使って経験する機会”を大人が奪っていることにもつながります。

失敗や不安を恐れるあまり、安全第一で「そのままでいい」と判断してしまう——
それは果たして“子どもの未来のため”になっているでしょうか?


私は、成人の脳卒中後のリハビリにも長く携わってきましたが、
実際に装具を処方することは非常に少なく
むしろ装具なしで機能を回復させたケースの方が多かったのです。

その理由は、早期から関節ケアと機能訓練を行うことで、
身体の感覚と動きを結び付け、“自ら動ける力”を育てていくことができたからです。


子どもにも同じことが言えます。
装具を処方する前に、まずはその子が持っている本来の動きや感覚に、
どこまでアプローチできるかを試してみること。

それが本来、私たち施術者の役割であり、
そして装具を「選ぶ立場」にある大人の責任なのではないでしょうか。


「今までこうしてきたから」ではなく、
「この子の“未来の動き”のために、何が最適か?」

その視点を忘れずに、装具との関わり方を今一度、見直してみてほしいと願っています。

4. 痙縮=即・固定ではない。やるべきは関節ケア

“痙縮”という言葉を聞くと、多くの方は「筋肉が固まってしまっている状態」とイメージするかもしれません。
しかし、実際の痙縮とは、筋肉そのものが硬直しているのではなく、神経の興奮が過剰になっている状態です。
つまり、筋肉を動かす指令が“出過ぎている”ことによって、必要以上に力が入ってしまっているのです。


押さえつける装具は本当に必要?

このような過緊張状態に対して、「装具でとにかく固定する」「まっすぐに矯正すれば改善する」という対応が、今も現場で多く見られます。
とくに、足部が内側にねじれてしまうような痙縮パターンに対して、無理にまっすぐに矯正するような装具を長時間使用させているケースも少なくありません。

しかしこの対応は、筋肉や関節にとって“ねじれを押さえつけられる”という強いストレスを与えることになります。
結果的に、筋緊張がさらに高まってしまったり、痛みや拒否反応を引き起こす要因にもなります。

一見、姿勢が整ったように見えても、子どもの身体の内側では、「防御反応」が強化されてしまっているのです。


本当に必要なのは「緊張が緩む環境」をつくること

痙縮に対して本当に必要なケアとは、「力を抑え込むこと」ではありません。
必要なのは、筋肉が自然に力を抜ける“環境”を整えることです。

たとえば:

  • リラックスできる姿勢で関節を支える

  • ゆっくりと、痛みのない範囲で関節を動かす

  • リラックスできる姿勢で施術することで、副交感神経の働きを高める

  • 頸部(首)の位置を調整し、全身の緊張をコントロールする

といった方法が、痙縮の緩和にはとても有効です。


無理に伸ばすのではなく、“動いていい”と感じさせる

関節ケアの本質は、「無理に伸ばすこと」ではありません。
身体が“動いていい”と感じる安全な環境をつくることです。

やさしく触れ、静かに支え、子どもの表情や反応を見ながら調整する。
そういった“愛護的なケア”の中でこそ、筋緊張は自然と落ち着き、動きやすさが戻ってくるのです。


固定やストレッチだけが選択肢ではありません。
子どもが「自分の身体を使って動いてみたい」と感じる関わりこそが、未来の動きを引き出す本当の支援だと、私は信じています。

5. 足部は小さな関節の集合体。だからこそ丁寧に扱う

 

足部は人間の身体の中でも、最も繊細かつ複雑な構造を持つ部位の一つです。
片足だけでも28個の骨、33の関節、100を超える筋肉・腱・靭帯が存在しており、
これらが連携して働くことで、私たちは「立つ」「歩く」「バランスを取る」といった高度な動作を実現しています。


関節のひっかかりによる『関節機能障害』が全身に波及する

このように足部をはじめとした関節は、緻密な構造であるがゆえに、わずかな引っかかりや制限が痛みやしびれなどの症状や全身の姿勢や運動パターンに影響を及ぼします。
足部の働きが乱れると、その影響は足首、膝、股関節、そして体幹や頸部にまで波及するのです。


現場で軽視されがちな“動きの要”

しかし現在の小児リハビリの現場では、足部を“固定の対象”として扱い、
装具によってその動きを制限してしまうことが少なくありません。

関節の動きを制限してしまうということは、感覚の入力も減るということ。
感覚が減れば、動きも学習されにくくなり、
子どもが「動きを覚えるチャンス」を失ってしまう可能性すらあるのです。


装具が妨げる“感覚と運動の統合”

本来、足部の関節はそれぞれが独立した役割を持ち、
微細な調整を行いながら地面と接触しています。

たとえば:

  • 立位時には距骨下関節が傾斜に応じて柔軟に動く

  • 前足部は踏み出し時の推進力を生む

  • 足趾が接地の最終安定性を担う

この“動きの連鎖”を装具で止めてしまえば、
子どもが本来身につけるべき「感覚と運動の統合」が妨げられてしまいます。


丁寧に足部と向き合うことの意味

足部の柔軟性は、単に関節の可動域だけではありません。
足裏からの感覚入力や神経系の働きも密接に関わっているのです。

だからこそ、装具で固定する前にすべきことは、
まず「丁寧に足部を扱うこと

  • 痛みのない範囲でやさしく触れ

  • 少しずつ関節の動きを促し

  • 子ども自身の身体が「足で立つ・足で歩く」感覚を取り戻す

そのプロセスこそが、全身のバランスと動きの基盤を整える支援となるのです。


一見小さな部位に思える足部
しかしその中には、子どもの“全身の発達の鍵”が詰まっていることを、私たちは忘れてはなりません。

6. 関節リセットという選択肢

足部の関節をやさしく整える新技術「フットリセット」 – 小児リハビリでの効果と魅力

関節リセットとは何か?

関節ケアの新たなアプローチとして注目されているのが『関節リセット』です。これは、関節そのものの位置や動きを整えることに特化した技術です。関節リセットの技術の中でも、特に足部の関節ケアに特化した手技に『フットリセット』があります。『フットリセット』は、足部の関節の「ずれ」をやさしく元に戻すようなイメージです。バキバキと音を鳴らすような荒っぽい矯正ではなく、ゆっくり小さな動きで関節を揺らしたり、位置を整えたりするソフトな手技なので、小さなお子さんでも安心して受けられます。実際、関節の動きを直接改善することで関節本来の正しい動きを引き出し、痛みの軽減や可動域の拡大につながるとされていますh2health.com。では、具体的に関節リセットがどのように他のアプローチと異なり、お子さんにどのようなメリットをもたらすのかを見ていきましょう。

他の筋肉に対するアプローチと何が違うの?

ストレッチやマッサージ、筋膜リリース、筋力訓練などの筋肉へのアプローチは、筋肉の柔軟性や筋力を改善することで間接的に関節の動きを良くしようとする方法です。これらも小児リハビリで重要な手段ですが、痛みの原因が関節そのもののズレや動きの悪さにある場合、筋肉だけをいくらほぐしても根本的な解決にならないことがあります。(maruzenjunkudo.co.jp

実際、理学療法の現場では「関節の動きを改善させる『関節リセット』をしないまま揉んだり伸ばしたりしても、かえって痛みが増すことも多い」と指摘する専門家もいます。(maruzenjunkudo.co.jp

つまり、関節に引っかかりやズレがある状態では、筋肉を揉みほぐすだけでは不十分で、関節自体にアプローチする必要がある場合があるのです。

関節リセットはこの点で筋肉アプローチとは明確に異なります。足部の細かな関節一つひとつに対して直接手を当て、関節が本来あるべき正しい位置・動きへと導いていくことを目指します。筋肉へのストレッチでは届かない関節内部の動きや関節包・靭帯の調整まで行えるのが強みです。その結果、筋肉を無理に引き伸ばさなくても関節の可動域が改善され、それに伴って筋肉の緊張も自然と和らぐことがあります。関節のアライメント(位置関係)が整うことで周囲の筋肉や腱への負担も減り、根本的な改善につながりやすくなるのです。(h2health.com

関節の引っかかりや拘縮に直接アプローチできる

関節リセット最大の利点は、痛みや痺れ、動かしにくさの原因となる『関節機能障害』に直接アプローチできる点です。ここでいう『関節機能障害』とは、関節の動きが制限されたり正しく動かなかったりする状態、いわゆる関節の微妙な引っかかりを指します。また「拘縮」とは、関節周囲の組織である関節包や靭帯が硬く縮こまってしまい、関節が動きにくくなっている状態です。

例えば、ケガや神経・筋疾患などで長く動かさなかった関節は硬くなったり位置がずれたりしてしまうことがあります。そうした関節の不具合があると、関節を動かそうとするときに痛みが出たり、神経が圧迫されて痺れが生じたり、関節の曲げ伸ばしの範囲(可動域)が狭くなったりしますよね。実際、小児のリハビリの分野でも、関節の動きの制限があると筋肉のこわばりや可動域低下、痛みなどが生じることが報告されています。(pmc.ncbi.nlm.nih.gov)関節リセットはこのような関節そのものの不具合に働きかけて、動きを妨げている原因を取り除くことができます。関節に生じている小さな「引っかかり」や硬さを丁寧にリセットしていくことで、痛みの原因に直接アプローチし、関節が正常に動くようサポートするのです。

関節の引っかかりが取れてスムーズに動くようになれば、結果的に痛みが軽減し、動かせる範囲も広がります。ある報告では、関節の動きを改善する手技を行うことで、子どもの痛みが減少し運動機能やバランス能力の向上につながったケースもあるとされています。(pmc.ncbi.nlm.nih.gov

このように、関節リセットは関節のズレや拘縮そのものへ直接働きかけることで、お子さんの「痛い」「動かせない」を根本から改善できる可能性を秘めています。

痛みのないマイルドな施術で子どもも安心

「関節を調整する」と聞くと、大人でもボキボキと音を鳴らす整体のような痛そうな手技を想像するかもしれません。しかし、関節リセットは非常にマイルドで穏やかな施術です。施術中はお子さんはベッドに楽な姿勢で寝転んでリラックスしています。セラピスト(療法士)はお子さんの足を優しく支えながら、ゆっくりと小刻みに関節を揺らしたり、わずかに引っぱったりする程度で、決して痛みを与えるような強い刺激はしません。実際、専門家の間でも小児には刺激の少ない穏やかな関節モビライゼーション(動きをつける手技)の方が適していると言われており、子どもに対しては優しいアプローチが推奨されています。(vaia.com

関節へのアプローチと聞くと特別な技に思えるかもしれませんが、基本は「軽い力で軽く押される」「そっと動かす」という優しいものなので、見ている保護者の方もきっと驚くほどソフトに感じるでしょう。

関節リセットは受けている間に痛みを感じることはほとんどありません。むしろ気持ちよく感じてしまい、施術中にリラックスしてそのまま眠ってしまうお子さんもいるほどです。痛みや恐怖心で体に力が入ってしまうと逆効果ですが、関節リセットではお子さん自身が力を抜いてリラックスできるため、施術の効果も出やすくなります。「痛くないから嫌がらない」――これも小児リハビリにおいてとても大事なポイントですよね。泣いてしまったり怖がってしまってはリハビリが続きませんから、関節リセットのように子どもが安心して受けられる手技は、保護者にとっても心強い味方と言えるでしょう。

関節リセットでこんなに変わった!実際の改善例

実際に関節リセットを取り入れたことで、お子さんの状態が大きく改善した例も報告されています。ここではその一部をご紹介しましょう。

  • 例1:足裏全体を地面につけられるようになった
    あるお子さんは立位(立った姿勢)のときに足部の内側(土踏まずの側)が浮いてしまい、うまく床に足裏を着けられない状態でした。土踏まずの部分だけ体重がかからず浮いてしまうためバランスが悪く、立つこと自体を嫌がって泣いてしまうこともあったそうです。そこでリハビリに関節リセットを取り入れ、足関節(足首や足の指のつけ根など)の微妙なズレを整えたり動きをつけたりするケアを続けました。その結果、徐々に足の内側もしっかり床に着くようになり、足裏全体で体重を支えられるよう改善しました。驚くことに、以前は立つとき泣いていたそのお子さんが、関節ケアの施術中は泣かずにニコニコしていたとのことです。痛みや不安がなくなり、足で踏ん張ることへの恐怖心が減った証拠でしょう。足裏全体で立てるようになったことで姿勢も安定し、立位や歩行に対する自信もついてきたそうです。

  • 例2:曲がっていた膝がまっすぐ伸びた
    別のお子さんのケースでは、膝が常に少し曲がってしまい、完全に伸ばすことができないという悩みがありました。いわゆる膝関節の軽い拘縮状態で、歩くときも膝が伸びきらずぎこちない歩容になっていました。従来は太ももの裏の筋肉(ハムストリング)が硬いせいだと考えられ、ストレッチを一生懸命行ってもなかなか改善しなかったそうです。そこで関節リセットのアプローチに着目し、膝関節や足関節の動きをひとつひとつ丁寧にチェックしながら、動きの悪い部分に対してフットリセットの技術を応用しました。すると、少しずつ膝が伸びる角度が増えていき、最終的には真っすぐ伸ばしきれるようになったのです。筋肉を無理に引っ張るのではなく関節の動きを改善したことで、膝裏の突っ張り感が取れ、お子さん自身も「痛くなく伸ばせる!」と笑顔を見せてくれたそうです。このケースでは関節の調整によって結果的に筋肉の緊張も和らぎ、ストレッチでは得られなかった効果が出た良い例と言えるでしょう。

関節ケアは子どもの未来への新しいサポーター

関節ケアは、関節にフォーカスした全く新しい視点の小児リハビリ技術です。他の筋肉アプローチでは届かなかったところに手が届き、痛みや可動域制限といった根本的な問題にアプローチできます。優しく痛みのない方法なので、お子さん自身がリハビリに前向きに取り組めるというメリットも大きいです。実際の改善例からも分かるように、関節リセットによって「できなかったことができるようになる」「痛みや不安が減って笑顔が増える」といった嬉しい変化が期待できます。

大切なお子さんのリハビリだからこそ、安心できて効果的な方法を選びたいですよね。関節ケアは、そんな願いに応えてくれるやさしく頼もしいアプローチです。従来のストレッチや筋トレなどと組み合わせて取り入れることで、より総合的にお子さんの発達や機能向上をサポートできるでしょう。ぜひ一度、この新しい関節ケアの可能性について、担当のセラピストや医師に相談してみてください。お子さんの未来に向けて、痛みのない笑顔あふれる毎日を取り戻すお手伝いになれば幸いです。

7. 子どもが痛がっているのに、引っ張り続ける“常識”

リハビリの現場で、痛がる子どもに対して無理なストレッチを続けている場面を見たことはないでしょうか?

ときには泣いているにもかかわらず、
「もう少しですから」
「ここを我慢すれば伸びますよ」
と声をかけながら、足首や膝、股関節を強く引っ張る様子も見られます。


家庭にも持ち込まれる「無理なストレッチ」の指導

こうした行為は現場だけにとどまりません。
保護者に対して、

  • 「おうちでもストレッチをがんばってください」

  • 「もう少し強く伸ばしてくださいね」

といった指導がなされることもあります。

真面目な親御さんほどそれを信じて、子どもが痛がっても「頑張ってね」と声をかけながら引っ張ってしまう。
こうして、本人の意思や反応を無視した“痛みのある介入”が習慣化してしまうのです。


本当に、それは「リハビリ」ですか?

子どもが痛がっている時、それは**「身体が危険を感じて防御している」状態**です。

その状態でさらに強い刺激を与えると:

  • 筋肉はさらに緊張し

  • 関節や神経にダメージを受けるリスクがあり

  • 心理的には「動くこと」に対して恐怖を感じるようになります

結果として、“自分から動きたくない身体”ができあがってしまうのです。


痛みを我慢する訓練ではなく、「動きたい気持ち」を育てる

リハビリは本来、“動きを取り戻すための支援”であるべきです。

それが、痛みに耐える訓練や、我慢を美徳とするような空間になってしまっては意味がありません。

  • 痛みのない

  • 安全で

  • 信頼できる関わり

こそが、子どもの心と身体の両方を育てていくのです。


「少し無理をすれば成果が出る」
「我慢も必要」
——そんな大人の“常識”を、子どもに押しつけていないか?

いま一度、立ち止まって考えてみる必要があります。

8. ストレッチでは関節拘縮は改善しない

子どもに関節の動きづらさがあると、
「ストレッチをして関節を柔らかくしましょう」と言われることが多いかもしれません。

確かに、筋肉が硬くなっている場合にはストレッチが有効です。
しかし、関節そのものが硬くなってしまっている「関節拘縮」の場合、
ストレッチだけでは根本的な改善につながりません。


ストレッチが届かない「関節の構成組織」

なぜなら、ストレッチは主に筋肉を伸ばす手法であり、
拘縮している関節の構成組織、つまり:

  • 関節包

  • 靭帯

  • 滑膜

  • 線維化した結合組織

に対する効果は限定的です。

これらの構造は、ただ強い力で引っ張っても劇的な変化は望めず、
むしろ微細な損傷や炎症を引き起こすリスクすらあります。


「柔らかくなった気がする」は勘違い?

「ストレッチをした直後は少し柔らかくなったように感じたけど、すぐに戻ってしまった」
という声は現場でもよく聞かれます。

これは、一時的に筋肉の反応が緩んだだけで、
関節の構造自体が変わっていないためです。


本当に必要なのは、“関節を動かす技術”

拘縮した関節には、関節内部の滑らかな動きを再び引き出すために:

  • 関節包や靭帯に適切な刺激を与え

  • 痛みなくやさしく動かし

  • 安全なポジションで丁寧に可動域を広げていく

という、専門的な「関節リセット」といった手技が必要です。


関節ケアをできる施術者はごく少数

残念ながら、こうした関節ケアを専門的に実施できる理学療法士業界では、全体の1%程度であり整体業界ではさらに少ないのではないでしょうか?
そのため、根本的な関節の問題に対応できず、結果として強引なストレッチが繰り返される現場も少なくないのです。


ストレッチ=万能ではない

「ストレッチをすれば柔らかくなる」は、すべてのケースで正解ではありません。

関節拘縮には、“構造に対する適切な関節技術”が必要です。

この知識を持つことが、子どもの身体と未来の動きを守る、
真のリハビリの第一歩になります。

9. 間違ったリハビリが子どもの身体を壊してしまう?

― 医原性拘縮と“硬くなりやすい”成長過程 ―

子どもは本来、筋肉や関節が柔らかく、動きを通して学びながら成長していく存在です。
ところがリハビリの現場では、「関節が硬いから伸ばす」「装具でまっすぐに矯正する」といった対応が優先され、
本来行うべき“やさしい関節ケア”が軽視されている場面を数多く目にします。


医原性拘縮とは?

特に深刻なのが、「医原性拘縮(いげんせいこうしゅく)」です。

これは、本来は柔らかく動いていた関節が、
施術や指導の誤りによって“施術によって硬くなってしまう”現象を指します。

たとえば:

  • 泣いている子どもに力任せのストレッチを続ける

  • 痛がっているのに装具で長時間固定する

こうした行為によって、関節包や靭帯が炎症を起こしたり、癒着してしまうことで、
結果的に関節が“動かなくなる=拘縮”してしまうのです。


家庭にも影響を与える誤った指導

さらに問題なのは、家庭内にまでその影響が及ぶこと。

保護者に対して:

  • 「もっと強く引っ張ってください」

  • 「毎日がんばって伸ばしてください」

といった指導がなされることがあります。

真面目な親御さんほど、子どもの嫌がる反応にもかかわらず、
「この子のためだから」と信じて続けてしまう。

結果、子どもの身体は“防御反応を学習してしまい、緊張が常態化”してしまうことがあります。
これは明らかに
施術側・指導側の責任であり、本来は避けられるべき事態です。


成長とともに“硬くなりやすくなる”という事実

もちろん、子どもは年齢とともに骨や関節の構造が成熟し、
“徐々に硬くなりやすい”時期に入っていくのは事実です。

ですが、ここで大事なのは、
「成長のせいで硬くなった」のか?
それとも「間違ったリハビリによって硬くしてしまった」のか?という視点です。

実際には、「成長過程」ではなく「積み重なった誤った対応」によって関節の柔軟性を失っているケースが少なくありません。


装具による固定もストレッチと同じくらい危うい

また、装具による“矯正的な固定”も危険です。

たとえば:

  • 曲がった足を「まっすぐに戻すため」に

  • 長時間、固定された姿勢を続ける

こうした対応では、関節に常にストレスがかかり続けることになり、
結果として痛みや筋緊張の悪化を招く可能性があります。


子どもに必要なのは「原因に目を向けるケア」

重要なのは:

  • 「いま硬いから引っ張る」

  • 「曲がっているから固定する」

という表面的な発想ではなく、
“なぜそうなっているのか”という根本原因に目を向けることです。

まずは痛みを取り、緊張を和らげるやさしいケアから始めることが、
子どもの未来の動きを守る最善の道なのです。


身体は、痛みを覚えた動きは避けようと学習します。
だからこそ、私たち大人が「正しい関わり方」を知ることが不可欠です。

間違ったリハビリや固定で、本来動けるはずの身体を壊さないために。
今こそ、一人ひとりが「子どもの身体に寄り添う視点」を持つことが求められています。

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